ブルーアトラス物語/第二章・練習開始!  
               
 

 その日がついにやってきた。曇り空の少し肌寒い5月下旬の日曜日、市民センターに3時の約束だった。

 ……隆一は「フォークギターしか持ってないけど…」と先週のレストランでの打ち合わせの時に話した。「それならオレのエレキ使っていいですよ〜…」と言ってくれたのがドラム担当の山田さんだった。「じゃとりあえず…いいですか?お借りして…」ということになった。……

 隆一は手ぶらで3時ギリギリに着いた。

 市民センターに入るのは初めてだった。スリッパに履き替えて中に入ると右側に白いボードがあって2階和室バンド練習と書いてあった。2階か〜、へぇ〜、ここが市民センターっか〜。隆一はキョロキョロしながら2階へと上がっていった。

 「こんに・ち・・は・・・!」部屋に入ると隆一は唖然とした。

 50畳ほどの和室には入口右側にステージがある。そのステージの真ん中にはドラムセットがドーンと陣取り、それを挟むように大きめのアンプが数台、ギターが数本、ギタースタンドに出番はまだかと言わんばかりに立て掛けられていた。

 え!もうここまで揃っていたの?この間の打ち合わせではこんな話しはなかったのに…。いや、バンドに参加するっていうことは、これは当たり前か…自分の考えの甘さにがっかりした。ギターもなしでバンドに参加しようとした自分が浅はかだったか…。

 「全員揃いました〜、やりますか〜」もうベースギターの重厚な音をさっきから響かせて今か今かという様子で、長尾さんが皆に言葉をかけた。

 「平井さん、ギターあれ使っていいですよ」ニコッと山田さんが指さした。黒い色のギターがスタンドに置かれていた。

 「は、はい…すんません…」もうすっかり気後れした隆一だった。

 
  第一章へ   第三章へ   第四章へ   6     次ページ  
   mail