ブルーアトラス物語/第二章・練習開始!  
         
 

 「さて、なにやりますか〜」 長尾さんの声が聞こえないのか、皆それぞれ勝手に音を出してて自分の世界に入り込んでるようであった。久しぶりの音の感触を楽しんでる様子…。ただ隆一はチューニングがまだうまくいかずにイライラしてた。

 「平井さん、これ使って…」 みかねて長尾さんが手のひらに入るくらいの小さな機械を持ってきて、「これでチューニングしてください…」 今は便利な物があるんだ〜と初めて知った。そのチューニングマシーンなるものを使って1弦づつ音を合わせていく。6弦。ボァォ〜ン……これは便利……ん!?

 「長尾さん、これ…、どうなれば…、どうなるの…???」 なんかだんだん冷や汗が出てくる思いだった。冷たい視線を感じながら、それでもなんとか1弦までこぎ着いた。チューニングでこれでは先が思いやられる…そんな視線をいっぱい浴びながら隆一は「どうも〜、すいませ〜ん」明るく努めるのが精一杯だった。

 「じゃ、平井さん、朝日のあたる家でも…」と長尾さん、この間の話しを忘れてなかったようであった。

 「は、はい…」(あ〜あ、ほれ自業自得…)

 「じゃ、イントロのここを…」といいながら、隆一は自分で弾いてみせた。 「コード進行は、Am、C、D、F…でアルペジオ(分散和音)で…。」知ってる専門用語をいっぱい並べながら…ポロロ〜ン ポロロ〜ンと。

 「いいですね〜」ドラムの山田さんが、合わせてきた。ベースも続く…。

 「そこのところは、私が…」権藤さんがイントロのアルペジオを弾きだした。「あの〜、私は、なにを…」坂口さんが自信なさそうにしていた。

 「なぁ〜んだ〜、みんなやっぱり緊張してたんだ〜」ホッとした隆一は「じゃ〜、坂口さんはコードをストロークで…」手をシャンシャンと振りながら指示を出した。調子良すぎない…。平井さん。

 
第二章へ
7
次ページ
   mail