ブルーアトラス物語/第二章・練習開始!    
           
 

 隆一は、権藤さんのイントロのアルペジオを聞いて、ここからというところで、ジャジャン〜 ジャジャジャ ジャジャジャジャジャ〜ン… 朝日のあたる家のメロディーを弾きだした。

 ……実はバンドで合わせるのは30年前の会社の仲間と演奏して以来のことだった。そして、もうすぐ「朝日のあたる家」の演奏は終わってしまう…いや簡単に言うとそれ以上は弾けないところに差しかかるのを隆一は知っていた。……

 隆一はある程度のところまでメロディーを弾くと「すいませ〜ん、ここからベンチャーズは速く弾くんですよね。私はそこは弾けないんですよ〜」と頭を掻いた。

 「いや〜、あそこっから難しいんだよね〜」と苦笑いの長尾さん。 ガクッとおどけて持っていたスティックを落とす山田さん。 ブスっとまだアルペジオを弾き続ける権藤さん。なかなかついて来れなくてホッとしてる坂口さん。一瞬シィ〜ンと音が止まった。

 「パイプラインなんかは…」と、気を取り戻した長尾さんが声を出した。この曲もあのレストランで隆一が言ったのを記憶していた。

 「は、はい…」隆一はまた「イントロは…」と言いながら、6弦と5弦を上手くミュートさせながら、ドテ、ドテ、ドテ…と弾きだした。

 「い〜い、い〜い!」山田さんがノリながらドラムを叩きだした。そして、長尾さんのベースも…。

 「じゃ、そこは私が…」ドッテ、ドッテ、ドッテ…少し弾き方を変えて権藤さんが弾きだした。ありゃ…なんか挑戦的…。

 「あの〜、私は…」今度は自分でシャンシャンと手を振って見せたのは、若い坂口さん。そう、ストロークでね。

   
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