ブルーアトラス物語/第二章・練習開始!        
               
 

 権藤さんのイントロの音を聞きながら、ここというところで隆一は弾きだした。ジャンジャンジャッジャジャッ〜 出足好調。アンプから流れる音は、本当に久しぶりの快感であった。もちろん、弾きながらそんな余裕がある筈はないが、恐らくそんなパイプラインの演奏前半であった。

 そして、お待ちかね。テケテケテケテケテケテケ〜の入る小節が迫ってきた。 ベンチャーズといえばこのテケテケである。隆一は待ってました〜とばかり、6弦をミュートさせながら、ピックを持った右の指を小刻みに震わせて……かなりの技術を要する作業なのです。実は…… テケテケテケテケテケテケテケ〜。どりゃー見せ場だ〜!!

 すると権藤さんも負けずと…テケテケテケテケテケテケ〜。

 「あれ!」「はぁ?」隆一と権藤さんは顔を見合わせたまま、一瞬音が止まってしまった。「平井さん、テケテケはサイドギターが担当なので…はい」長尾さんが呆れた顔で隆一をみた。「ほんとに…も〜!」は言葉に出さない権藤さんの引きつった顔…。「はぁ、そうなの?知らなかった〜」隆一は本当に知らなかったのである。

 その後である。

 ジャンジャンジャ〜ンジャッジャ〜 急に聞き覚えのあるメロディー、そうパイプラインを目の前の権藤さんが弾きだしたのだ。つられるようにベース、ドラム、サイドギターが加わって演奏し始めた…そしてエンディングまで。一曲完成。それはいとも簡単に今まで何度も練習を重ねてきたバンドのように終わってしまった。

 「な〜んだー、権藤さん上手いじゃないですか!」 「他には何が弾けるの〜」 その後は、何曲か聞き覚えのあるベンチャーズのサウンドが流れた。

 隆一の耳にはどの曲も同じように聞こえてきた。「できるなら初めっから言えよな…」ギターを肩から吊るしたまま畳に座り込んでただ4人の演奏を聴いてるしかなかった。

     
                     
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