ブルーアトラス物語/第二章・練習開始!    
           
 

 「たかが町内会のオヤジバンド…。大したことないだろう…。」がこの結果だった。「とても自分がやれるレベルじゃないな〜。ついていけないな〜」そんな思いだけが、ベンチャーズの演奏をBGMに膨らんでいった。

 「平井さん、これバンドスコアです。今度やるときまで練習しておいて!」長尾さんがコピーしてみんなの分を用意しておいてくれた。パイプライン、ダイアモンドヘッド、ウォークドントラン、木の葉の子守歌…ベンチャーズの代表曲ばかりだった。こんな楽譜を見るのも初めての隆一はますます気が重くなっていった。

 座り込んだまま隆一は、みんなの演奏しているパイプラインのオタマジャクシを追っていったが、途中でどこを演奏しているのかさえ分からなかった。楽譜を見ながらギターを弾いている真似をするのが精一杯の隆一だった。もう顔をあげるのも辛くなっていた。

 3時から5時までの練習は隆一にとって、長〜い時間だった。もうやめようかな〜が頭の中を駆け巡っていた。片付けを終わると「平井さん、このギター持っていって練習していいですよ〜。オレ使わないから〜」山田さんがニコニコしながら「一緒に帰りますか〜」と声を掛けてくれた。

 市民センターから山田さんの車に乗せられて、5分もかからないうちにマンションの駐車場に着いた。同じ棟なので歩きながら「いや〜山田さん、参りましたよ。みんな凄いですね」と隆一が話しかけた。

 「いや〜、私もね〜、あの権藤さんがドラムの叩き方に色々言ってきて…。なんかどっかでドラムをやってたみたいなんですよ〜。プレッシャーだな…」「え〜、そうなんですか〜。」「どうしようかと思って…」意外な山田さんの話しだった。

 長い日曜が終わった。  (つづく)

   
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