ブルーアトラス物語/第三章・猛特訓!      
               
 

 ケンケンケンケン、山田さんのスティックがカウントを切った。その合図でドテッドテッドテッドテッ……隆一の5弦、6弦のミュート、ベースのヴォンヴォンヴォンヴォン…で始まった。ジャ〜ン、ジャ〜ン…坂口さんの出番だ。さっきの隆一との打ち合わせ通り、目で合図しながら弾きだした。イントロがうまく進行した。

 リードギターの権藤さんが弾きだす。お〜!いいぞ〜、ベンチャーズだ〜!気持ちイ〜イ! 隆一のアンプからもブゥ〜ンと音が流れていた。そして、あのテケテケテケテケテケ〜のところだ。来たぜ、サイドギターの見せ場。テケテケテケテケ〜! えっ!ん?またしてもそこで止まった。

 「平井さん、そこ長すぎ〜だわ〜」長尾さんが手を横に振りながらそこで音を止めた。そこからまた、テケテケテケテケテケの特訓だ。権藤さんがテケテケテケテケ〜と見本を見せるように弾いた。ベースも、ドラムも合わせてきた。「こんな感じで弾いてもらうと…」何度繰り返しても、隆一のテケテケテケは長すぎてリズムに合わない。

 またあの初めての練習の日の再現っか〜。さっきまでの少しの自信がまた崩れ始めた。 「う〜ん、イマイチ、タイミング合わないけど、そんな感じで…」と長尾さんがとりあえず最後まで演奏しようということになった。リズム感が良くないんだろうか?簡単なようでなかなか思うようにはいかない隆一は自分にイライラしていた。

 まぁそれでもイントロからエンディングまで通して演奏できるようになった。これはすごい記念すべき大進歩だった。この二週間の猛特訓とオリジナル楽譜の成果だった。

 誰も前回と違う?と気付いてくれる訳でもない。誰もよくやったね〜と誉めてくれる訳でもない。それでも隆一には手応えを感じた。これで下を向いたまま顔を上げられなかったあの屈辱の日からは立ち直ることができた…と。

つづく

     
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